放射線ホルミシスで実際人体内で起こることは
低線量の放射線を浴びたときに人体に有益な作用が起こる「放射線ホルミシス効果」は、人間の体が持つ「応答反応」によるものになります。
低線量の放射線を受けると、放射線の持つエネルギーによって細胞内の水の電離が引き起こされ、一時的に活性酸素が発生します。
これに抗して人体は、抗酸化酵素をつくる遺伝子のスイッチが入り、抗酸化酵素は体内の活性酸素を少しずつ除去していきます。
このような人体の反応を「応答反応」と呼びます。
人体が栄養を燃焼させるときに発生する活性酸素は、生命を維持するためになくてはならないものなのですが、と同時に癌や成人病などさまざまな病気を引き起こし、老化を促進する極悪人でもあるのです。
この活性酸素を除去する抗酸化のために我々が普段サプリなどで摂取しているのがビタミンCやビタミンEなのですが、低線量の放射線の起こす抗酸化の働きは、前述のビタミンとはケタ違いの働きがあるのです。
そして現在、低線量放射線ホルミシスは、さまざまな医療現場への臨床的応用が始まっているのです。例えば…
- 活性酸素抑制酵素の増加
- 細胞のDNA修復力の向上
- 免疫バランスの向上
- がん抑制遺伝子P53の活性化
- 血液中の各種ホルモン分泌の増加
- 血中コレステロール値の減少
- 過酸化脂質の減少
などなど
このような様々な有益な効果をもたらす放射線ホルミシスは、洋の東西を問わず統合医療の切り札として新しいページを開いているのです。
放射線ホルミシスの産みの親ラッキー博士
放射線にもホルミシス効果があると最初に提唱したのは、ミズーリ大学の生命科学の教授トーマス・D・ラッキーです。
ラッキー博士はNASA(アメリカ航空宇宙局)から、アポロ計画における有人飛行において、放射線が強烈にふりそそぐ宇宙でそれが宇宙飛行士の身体にいかなる影響を与えるのかの調査を依頼されました。
博士は10年以上の歳月をかけてこの研究に取り組み、その結果、宇宙飛行士が浴びる地上の100倍もの線量の放射線は、危険どころか、むしろ人体にとって有益であると結論付けたのです。
このように始まった「低線量放射線ホルミシス効果」の人体への有用性は、様々な専門機関の実験を経て、いまや国内外3000を超える研究論文により証明されているのです。
博士は、2011年3月東日本大震災による原発事故で苦しんでいる我々日本人に対しても「放射線を怖がるな!」という本を出版されて応援してくれました。
『放射能を怖がるな!』T.D.ラッキー最後に、現時点での研究で放射線ホルミシスがどのような病気に効果があるのかを記しておきます。
◆研究により効果に実績があるもの
- 関節リウマチ
- 脊椎炎
- 神経痛
- 腰痛
- 関節炎
- 喘息
- アトピー性皮膚炎
- アレルギー皮膚炎
◆研究により効果に実績が予測されるもの
- がん再発防止
- がん治療向上
- 各種肝炎
- アルツハイマー進行防止
- パーキンソン病
- 糖尿病